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かがやけ 関西!提案します
「おんなの目で大阪の街を創る会」副代表小山琴子さん
地下鉄をバリアフリーに 女性の視点が大阪を変える
築こう!全国一、弱者に優しい街
高齢者や障害者にやさしい街づくりを目指す「おんなの目で大阪の街を創る会」がこのほど、非営利組織(NPO)への支援を目的に設立された大阪NPOセンターが主催する第1回「OSAKA NPO アワード’97」のグランプリに輝いた。同会副代表の小山琴子さんに話を聞いた。(袖中陽一)
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―今回の受賞は地下鉄の検証が評価されました。
「ニュートラムを除いた大阪市営地下鉄の111駅全駅を女性の細やかな視点で調べ、今月5日にすべての調査を終えたところです。1駅に2時間くらいかけ、1日に3駅。1月に2−3回の活動で2年かかりました」
―地下鉄を検証しようとしたのはなぜですか。
「『創る会』は平成5年から21人のメンバーで活動をしているのですが、活動のテーマを話し合ううち、高齢のメンバーが、地下鉄の駅は雨の日は特に足がすべるので、手袋をはめて手すりを持って降りるが、手すりが汚れていて手袋が真っ黒になる、また、階段がしんどいから普段はバスを使っている、と言いました。私は年をとっても地下鉄があるから大阪中どこでも行けると思っていたからショックで、地下鉄がどれほど社会的弱者にとって使いづらいものかを調べようということになったのです」
「ホーム、階段、トイレ、券売機、改札などに分け、弱者にやさしい設備が整っているかについてチェックする調査表をつくって調べました」
―健常者だったら足でも骨折しない限りわからないことが多いです。
「メンバーに高齢の人がいるのでその意見を聞いたり実際に車いすを使っている人にも参加してもらって調べました。私自身自転車に乗っていて足を折ってしまい、車いすで移動しなければならない羽目になったことがあり、実際に不便を体験しました」
「車いすに乗ると足を置く場所から少しつま先が出るのですが、エレベーターに乗り込んだとき、そのつま先がエレベータの奥の壁にぶつかって足にひびくのです。こんなふうに実際に体験してみないとわからないことがたくさんあります。また最近は駅付近の歩道に波形ブロックが敷きつめてあることが多いですが、ブロック間のすき間の連続が足に響いて痛いんですね。以前のようにアスファルトかコンクリートにできないのか、どうして車いすにバネがついていないのかと思いましたね」
―これまでの活動の成果は。
「今年初め、御堂筋線と谷町線の調査が終わった段階で調査記録をまとめ、改善要望とともに大阪市交通局に提出。車いすが入れるトイレは安全上の問題などからすりガラスで外から見えるようになっていたのですが、プライバシー保護のために観葉植物で隠したりシールを張ってくれるように要望したら、すぐに実行してくれた駅もありました」
―しかし、新しい駅なら、社会的弱者対策も行き届いているのでは。
「以前よりずいぶんよくなりました。ただ、車いすで入れるトイレが男女別々に1つずつ付いているところがありますが、例えば男性が女性の介護をしている場合、女性のトイレには入りにくいでしょう。1つでもいいので、男女どちらも入れる仕組みにしてもらったほうがいいのでは」
「また、私たちの活動だけでできたわけではありませんが、今年8月に延伸した長堀鶴見緑地線の新しい駅では駅員さんに頼んで通路を開けてもらわなくても車いすで素通りできる幅の広い非自動改札口が採用されました」
―活動の性格として、今回の受賞で選考委員から評価された点は。
「自分たちの視点から始めた活動が行政も動かしつつあり、行政といいパートナーシップが組めているという点と、自分たちの独善に陥らず専門家や高齢者・障害者らの意見を聞きながら活動をすすめている点を評価してくださいました」
「春には調査記録をまとめて大阪市交通局に提出することにしています。交通局はぜひできるだけのことをして、大阪の地下鉄が全国で一番弱者に優しいといわれるようになってほしいですね」 |
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