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お年寄りや障害者に優しい大阪を目指して
地下鉄駅など、女性の目で街をチェック
すべての人が過ごしやすい街づくりを目指す「おんなの目で大阪の街を創る会」(93年12月、大阪市立婦人会館が主催した街づくりの市民講座を受講した主婦らが設立)が、2年間続けてきた大阪市営地下鉄全駅の調査を終了。検証活動をまとめたビデオも完成、近く最終改善案を提言する。地道な活動の輪が大きく広がろうとしている。
「地下鉄は階段が苦手なので、少し待ってでもバスに乗ります」。会員である1人のお年寄りが漏らした言葉をきっかけに、96年1月、検証作業が始まった。
事前に100人のお年寄りや身体障害者を対象に行ったアンケートを参考に、調査表を作成。音声による案内や点字ブロック、車いす用トイレの有無、ホームと電車の段差やすき間などチェックする項目は多かったが、調査表を基に各駅の調査を実施。 調査を進めるなかで、本来車いす利用者に配慮して作られた低床式券売機が、表示部が斜めになっているため見えにい、点字ブロックのすぐ横に灰皿が置かれ視覚障害者の通行の邪魔になっているなど、いろいろなことがわかった。
検証を続けるためには駅員の理解も必要だった。「創る会」代表の三好桂子さん(62)は当初から「告発するのではなく、お互いが話し合う姿勢が大切」と強調、駅員との信頼関係を築くことに心を砕いた。
ある駅で、路線図に表示された料金表で「当駅」の場所が見つかりにくいことに気づき、駅員に話すと、早速、「当駅」を指し示す手作りの大きな矢印が張り付けられた。このように、効果がすぐ表れることもあり、会員の大森恵子さん(47)は「駅員の気持ち次第で使いやすい駅ができることを痛感した」という。
民間企業とのつながりもできた。昨秋、表示板メーカーの日本サイン(大阪市)常務の船橋比呂志さんは駅のトイレで調査中の会員と偶然出会った。「それ以来、意見交換をしたり、調査資料を表示板の設計に役立てている」という。副代表の小山琴子さん(50)は「企業、市民、行政と、みんなが主役の活動にしたい」と期待する。
調査結果は、集計が終わり次第、市交通局に最終報告をする。2年間の調査を終え、これからの活動テーマについて、三好代表は「問題を探すのではなく、日々の生活で「あれっ」と思ったことをみんなで考えていきたい」と話す。
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