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   2002年8月12日 日本経済新聞

「誰でも楽しめる施設」をめざして、市民の目で点検 

 真夏の大阪市天王寺動物園。車いすで動物園に来た鷲尾泰代さんには、てすりが邪魔でせっかくのシマウマがよく見えない。ここは、2年前にリニューアルされたサバンナを再現した施設。シマウマが疾走する臨場感が入園者に好評だが、鷲尾さんが味わうことはできなかった。
 鷲尾さんと一緒に園内を点検している「おんなの目で大阪の街を創る会」の小山琴子さんも、「車いす利用者の視線も考えて設計されていると聞いていたのに・・・」とがっかり。同会は来園者アンケートなどを行い、来春、将来の動物園像を市に提言する予定。
 日本で3番目に長い歴史を持つ同園では、9年前に20年計画のリニューアルがスタート。「野生動物の種の保存や環境教育に貢献する」(同園)ことをめざし、建て替えを進めてきた。新施設にはいろいろな工夫が見られるが、この「手すり」のように配慮不足があったり、説明がないためにカバの足跡を模してつくったくぼみに入園者が気づかなかったり。
 少子化を背景に動物園人気が陰る中、「障害者やお年寄りでも楽しめる日本初の動物園をつくりたい」と動物園側もようやく危機感を抱き始めたようだ。
 日本に動物園が生まれて今年で120年。身近な憩いの場として市民に親しまれてきた各地の動物園や水族館で、この夏、話題の動物たちの姿を追った。

※この記事は、日本経済新聞社の了解を得て、要約しています。
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