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1999年8月7日 毎日新聞 |
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ホームは階段はトイレは・・・
車いすでの使い勝手調査 大阪市内の地下鉄7路線全駅を対象
改善策を提案、実現も おんなの目で大阪の街を創る会
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「地下鉄は階段が大変だから、時間がかかってもバスを使うの」。この一言がきっかけで、大阪市内の地下鉄7路線、全111駅を調査した記録が、冊子にまとめられた。大阪市の市民グループ「おんなの目で大阪の街を創る会」(小山琴子代表)の2年間の活動記録「ひとにやさしい駅へ市民グループからの提案」は示唆に富んでいる。
同会は1993年12月、大阪市立婦人会館の女性社会セミナー受講メンバーが集まって発足。それから1年近くたったころ、メンバーの辻野文子さん(73)が何気なくもらしたのが、冒頭の一言だった。
準備に9カ月。「独りよがりの調査では社会とつながらない」と、障害者グループなどの協力も得て調査表を作成した。その人たちには、実地の調査に加わってもらうこともあった。
96年1月、御堂筋線から調査スタート。高齢者が車いすを使って利用することを想定し、地上の出入り口や階段、券売機、ホーム、トイレ、公衆電話などの設置状況やホームに立つ駅員の人数まで97項目を調べた。1日に2〜4駅。111駅すべてを終えたのは翌97年12月だった。
調べながら、具体的な提案をする―この活動の大きな特徴だった。気づいたことは、その場で駅員に改善策を提案。始めた当初は、「何の目的で・・・」というような目で見ていた駅員も、グループの活動が広まるにつれて理解を深めてくれた。大阪市交通局との話し合いも持たれ、案内表示の改善や、車いす対応トイレのすりガラスに目隠しを兼ねてシールを張ることなど、要望が実現した。
同会の会員は現在、30〜70歳代の17人。代表の小山さんは「いわゆる専門家ではないけれど、私たちは利用者としては専門家。批判だけでなく、『人にやさしい駅』を一緒に実現していこうという姿勢が理解された。点字プレートへのいたずらなど、利用者のマナーに問題があることもわかった。冊子を通じて、お金をかけなくてもできることがいっぱいあることを伝えたい」と話す。
冊子には活動の経過や資料のほか、気づいた点を13項目にまとめ提案。さらに、どのように調査を準備し進めていったかなどについて手法や反省が詳しく紹介されており、市民活動をするうえでの格好の手引書ともなっている。
活動記録を冊子に
A4判150ページ、1000円。送料は実費。申し込みは郵便振替00960−3−117932「おんなの目で大阪の街を創る会」。問い合わせは小山さん(06・6927・9300)、または酒井さん(06・6925・1459)。 |
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※この記事は、毎日新聞社の了解を得て、全文そのまま、打ち込みなおしをしています。 |