大阪市在住の主婦でつくる市民団体「おんなの目で大阪の街を創(つく)る会」が、誰でも楽しめる動物園を目指して、同市への提言をまとめている。「年齢差、障害の有無に関係なく、すべての人が楽しめ、学べ、憩える、身近な空間であるべきだ」と、代表の小山琴子さんらは毎週のように天王寺動物園へ通っている。
「おんなの目―」は、町づくりを研究する市民講座の卒業生17人が1993年に結成。まず96、97年の2年間、大阪市営地下鉄の111の全駅について、社会的弱者にとっての“使い勝手”を調査。99年に報告書「ひとにやさしい駅へ」(150ページ)として、同市交通局に提言した。
提案は、費用があまりかからないように工夫。例えば、シルエットが映ってしまう障害者用トイレのすりガラスにシールを張ったり、点字表示のある自動券売機までの誘導ブロックを設置したり・・・。それもあって、交通局を動かす結果となった。 また、この活動をメンバー自身で記録した15分間のビデオ「亀の歩みでいいじゃない」は2年前の「ボランティア国際年ビデオコンクール」で経済企画庁長官賞を受賞。そして今度は大阪市の側から、「天王寺動物園のリニューアルに向け、市民の目から見た意見を出してほしい」と要請が舞い込んだ。
これを受けて、メンバーは仕事や家事の合間を縫って、アンケート調査を行ったり、視覚障害者や車いす使用者らハンディを持つ人たちと一緒に園内を回ったりと、さまざまな方法で調査、検討を続けている。来年3月までに、中間報告をまとめる予定だ。
「一歩踏み出す勇気を持ち、それを続けていければ、社会を少しでも変えていくことができると実感しました。また、背伸びせず、できる範囲内でやっていくことが、継続の決め手。今後も、一歩一歩身近なテーマに取り組んでいきたい」と、小山さんたちは8年間の活動を振り返った。
こうした活動ぶりは、先ごろプロの映画監督の手で作品化され、ドキュメンタリービデオ「楽しい動物園へ」(30分)として販売されている。
提言「ひとにやさしい駅へ」は千円、ビデオ「亀の歩みでいいじゃない」は2千円で頒布。「楽しい動物園へ」は5万円。問い合わせは、「おんなの目―」の代表、小山琴子さんTEL06・6927・9300
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